長崎小児歯科臨床医会
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- 2018年02月22日
昨夜は所属している勉強会での演者で発表を行いました。
約13年前まで東京のど真ん中の大学病院、医局のトップは歯周病学会の理事長まで上り詰めた臨床もばりばりこなす方の元で9年間揉まれていました。
一般の診療所がザジを投げた患者さんをいかに治し、お口の中の健康を取り戻すか。
当時は再生療法、インプラントが日本、歯周病学の分野に入ってきた熱い時代!
歯周病治療は歯周病を直すだけではなく、歯が無くなっていたり、本来の位置から歯が移動していたり、様々な問題がお口の中全体に生じている事が多い。
そのため、口の中全体をトータルで治し、その後どう良好な状態を管理していくか?
そのためにはインプラント、矯正治療、根管治療、補綴(被せ物、入れ歯等)幅広い総合的な治療技術が必要になります。
当時は徹底的に治療技術を高めていた時代でした。
自分の歯科医師人生に影響を与えてくれた人物、書籍がいくつかありますが、長崎で自分の考えに大きな影響を与えてくれた方が当時この勉強会で会長を勤めておられました。
この小児歯科専門医を中心としたグループのキーワードの一つは「育成」。
病気になった状態を対象にする現在医学だけではなく、そこに至る前に良い状態に専門家が導くという考え。
例えば虫歯になった子供が来院する。
対処療法しか行わない歯科医師は歯を削り、ハイ終了。また虫歯ができたら来院してね。となります。
少しまともな歯科医師はなぜこの子は虫歯になったのか?と考え砂糖の問題、歯ブラシの問題があると考え指導を行います。
でもこのグループではこの子がなぜ砂糖を多く取るのだろう?なぜ歯ブラシをしていないんだろう?
この子の家庭環境はどうなんだろう?
そこに寄り添い良い方向に導くために、我々は何が出来るのだろう?と考えます。
歯並びの問題で来院した人がいるとすると。
なぜこの人の歯並びは悪いのだろう?
どのような呼吸の仕方をして、どのような食べ物をどの様に食べているのだろう?
このお母さんの置かれた環境でどのようなアドバイスをすべきなのだろう?と考えます。
この様な目線でのアプローチをしています。
私の専門の歯周病に省みると、なぜ歯周病が発症する人と、発症しない人がいるだろう?
となります。
そこがわかってくれば歯周病になる前にアプローチができるはず。
川の上流に病気を作る工場があり、そこから下流に向かって病気の人たちが流れてくる。今の医療では我々はその下流でその方達を助けるのに精一杯で疲弊している。
川の下流の医療だけではなく、川の上流へのアプローチをもっと行う必要があります。
そのためには患者さんに正しい知識を提供する、病気を引き起こす生活習慣を是正してもらう。
患者さんへの生活に対してのアプローチが不可欠です。
対処療法中心(歯を削る、神経を抜く、歯を抜く、インプラントを入れる、薬を出す等)の今の医療から病気の原因を取り除く医療もさらにレベルアップしていきたいと改めて思います。