前歯部セラミックスブリッジ症例

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治療前 治療後

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治療開始前
左上2番が重度歯周炎のため保存できない状態でした

右上2番抜歯後
左上2番を抜歯1週間後の状態です
顎堤(顎の土手)の吸収を抑えるため人工骨を

移植していますが、唇側の顎堤吸収を認めます

仮歯
隣の歯を削り仮歯を入れた状態です
顎堤の吸収があるため歯の長さが長くなっています

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吸収した顎堤を回復させるため結合組織を移植

します

移植後、縫合した状態です 処置後1週目です 仮歯の長さが揃ってきています
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仮歯を用いて歯が無い左上2番目の部分の歯茎の形態を歯がある状態と同じ

ように曲線状に整えていきます
ここまできて型取りに入り、かぶせ物の製作を

スタートします

型を取って直ぐに出来上がり!ではありません
ここでは紹介しきれませんが、ご自分の歯と人工の歯が区別がつかないレベルに作製するためにさまざまなステップを踏んでいます。

院長より

非常に優秀な歯科技工士の力も借りて良い治療結果となりました。
どこが人工歯でどこが天然歯か、我々専門家が見ても簡単にはわからないレベルの治療を提供することができました。
右側の2,3番目の天然歯とセラミックスで製作した左上2,3番人工歯の形態、色、表面性状、全てが非常に高いレベルで修復されています。

セラミックスだから綺麗、長持ちするという説明をする歯科医師やそう思い込んでいる患者さんがいらっしゃいますが、私の考えは少し異なります。
セラミックスはあくまで治療に用いる材料であり、治療技術ではありません。

技術の低い歯科医師や歯科技工士がセラミックス修復治療を行えば、良い結果にはなりません。
逆に技術の高い人間が治療を行えば保険治療でもそこそこのレベルまで行くはずです。
修復治療は歯科医師、歯科技工士の技術に大きく依存する治療法です。

しかしながら保険治療は国が定めた治療費、材料の中で行わなければならないため、材料はもとより治療にかけれる時間にも制限が出てきます、その結果自ずと治療レベルに限界が生じます。

セラミックス修復を行うにあたり、まず歯科医師は歯を削ります。
その際の仕上げは、0.1mm以下のレベルで正確に行う必要があります。
肉眼でそのレベルでの治療は無理ですから拡大鏡や顕微鏡(マイクロスコープ)が必要になってきます。
削るためのバーやハンドピースと言われる道具にも、職人気質の強い歯科医師は強いこだわりを持っており、ドイツ製の製品を多用します。

周りの天然歯と色、形態、表面性状を合わせなければ、見た目は人工の歯になってしまします。
そこが疎かであるためにセラミックスが周りの天然歯と溶け込んでいないケースをよく見かけます。
周りの歯の写真を正確に撮影し、歯科技工士に提供する必要もあります。
カメラの知識・技術も必要になってきます。

次に歯型を取りますが、ここでも技術の差が如実に出てきます。
削った箇所がシャープにくっきりと型取りができているか、変形はないのか、どの材料で型を取るのがベストなのか。
自由診療では殆どのケースでシリコンと言われる材料で型をとります。
型取りも未だに難しく奥が深いと感じています....。

その歯型に石膏を流し込み、固まると患者さんの歯の石膏模型が完成しその模型で歯科技工士が修復物を作製していきます。

この石膏を流し込む作業もとても重要で、寒天やアルギン酸と呼ばれる型取りの材料(印象材)は硬化後いかに早く石膏を流すかが重要です。(数分以内に注ぐ必要があると言われています)
石膏と水を混ぜる割合(混水比)もとても重要です。水の量次第でも石膏模型の精度が変わります。
残念なことですが、午前中に取った型に数時間後の昼休みに石膏を注ぐ、混水比も目分量で適当ということをしている歯科医院も多いのが現状です。

この様なことをして出来上がった石膏模型は、すでに患者さんの実際の歯を正確に再現できていません。
この様な模型では優秀な歯科技工士が修復物を作製したとしても、実際の患者さんの歯にぴったりとは入りません。

そこで再製する勇気が歯科医師にあればまだマシなのですが、ほとんどはそのままセメントでつけてしまっているのが現状の様です。
歯にぴったり合っていないと言っても0コンマ数mmの話なので、患者さんにはわかりませんがこのズレは時間とともに少しずつトラブルを引きこしていきます。

正確な歯型、石膏模型、歯の写真を歯科技工士にお渡しするのが我々の重要な仕事で、実際の修復物の作製は歯科技工士が行います。
彼らはまさに芸術家・職人です、努力とセンスがものをいう世界です。
当院は自由診療の殆どを県外の優秀な歯科技工士に制作を依頼しています。

修復物をセメントで歯に付ける(接着)のですが、その工程も非常に重要です。
セラミックスといってもジルコニア、シリカ、ニケイ酸リチウム。
金属も貴金属、非貴金属。
それらをつける歯もエナメル質に付けるのか、象牙質に付けるのか。
神経を取った歯であれば、土台に貴金属、非貴金属、レジンが存在します。
これらをくっ付けるためにそれぞれの対象物に合ったプライミングといわれる処理を行い、その後セメントで付けていきます。

東急ハンズやホームセンターに行けば対象物に応じたセメントがある様に、それぞれの接着する物に応じた処理やセメントが必要になります。
また、湿度、唾液、血液、仮歯を止める時に使用していたセメントの残りなどは接着力を大きく低下させることがわかっています。
これらの阻害因子をどれだけ取り除くかも非常に重要になってきます。

以上の様に良い治療結果を得るためには、いくつものステップを正確に踏んで行くことが重要だと考えています。
当院の自由診療では現時点でできることを全て行い修復物を装着しています。

治療費:120.000+税/本