再生療法(GTR法+人工骨移植)
麻酔後、歯茎を切開剥離後の状態です。歯根表面に大量の歯石の沈着を認めます。 | 歯根表面の歯石を顕微鏡を用いながら除去し綺麗にした状態です。
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この症例では骨欠損の幅が広いため人工骨とコラーゲン膜を用いたGTR法を選択しました。 |
骨欠損部に人工骨を移植した状態です。 | その上をコラーゲン膜にて覆い再生のスペースを確保します。 | 歯肉弁を緊密に縫合します。これらの治療の要所要素に顕微鏡を用い精密な治療を行っています。 |
治療前の状態です。
歯を支える骨が2/3近く無くなっています。 |
治療後の状態です。
まだ周囲の骨とは完全には一体化していませんが骨の再生を認めます。 |
院長より
中等度〜重度歯周炎(重症の歯周病)の際、基本治療といわれる治療だけでは良好な治癒を得られないことがあり、その際には歯周外科といわれる治療を行うことがあります。歯周外科には目的に応じ様々な術式がありますが、この患者さんは歯を支える歯周組織(歯を支える組織で骨、歯根膜、セメント質、歯肉)を元の状態に再生させる治療(再生療法)の適応でした。
歯科で用いられる再生療法には、成長因子と言われるタンパク質を用い歯周組織の再生を促す方法があり、エナメル基質タンパク(商品名エムドゲイン)、繊維芽細胞増殖因子(商品名リグロス)などが用いれれています。
他には、歯周組織の再生に必要なスペースを特殊な膜を用いて確保し再生を促す方法、GTR法(組織再生誘導法)、その他骨を移植する方法などがあります。
今回はGTR法に人工骨を併用する方法を採用しました。
麻酔後、歯茎を切開剥離し、歯を支える骨と歯根を露出させ、歯根に付いた歯石・プラークを徹底的に除去し綺麗にします、その後骨の欠損部位に人工骨を填入し、その上からコラーゲンでできた特殊な膜で覆い、歯茎を縫合します。
レントゲン写真は治療前、再生療法 年後ですが安定した状態を維持しています。
歯周ポケットも初診時の8mmから3mmへと改善を認めました。
歯周病治療は歯科医師の力だけでよい結果を得ることは困難で、患者さんの生活習慣の改善や歯周病を誘発する原因の除去、歯科衛生士が行う初期治療、基本治療、歯科医師が行う歯周外科、その後のメンテナンス、これらのステップのどれもがとても重要です。
この患者さんはこれから矯正治療がスタートし、噛み合わせ、歯ブラシしやすい環境、見た目の改善に入っていく予定です。