上の前歯の歯と歯の間に隙間が空いているケースです。(正中離開)
意外と多いですよね。
患者さんは40代半ばの男性。
「今思えばこの隙間の見た目のせいで青少年期に思いっきり笑えなかった」とのこと。
このようなケースはダイレクトボンディングといって、直接コンポジットレジンを歯に詰めていく方法が世界の主流です。
歯には全くと言っていいほどメスを入れません。(傷つけません)
何度も言っていますが、歯は削れば削るほど寿命も削られていきます。
ダイレクトボンディングは歯を削らない、という大きなメリットがあります。
歯科技工士への製作依頼が無いため、費用を抑えられます。
欠点は歯科医師の知識と技術に完全に依存する事。
型取りまですれば、後は優秀な歯科技工士が詰め物を作ってくれるという事ができません。
もう1つはコンポジットレジンというマテリアルの強度的な限界、経時的な劣化が高強度のセラミックス系に比べ劣るということでしょうか。
しかしながら、近年のコンポジットレジンは素晴らしい物性を持ってきています。
また、壊れたら(欠ける)そこだけ詰め直すことができますし、艶が無くなったら磨けば元の状態に改善します。
メンテナンスで対応しやすいということもメリットだと言えます。
接着といって歯にコンポジットレジンをくっつける際、接着力を低下させる多くの因子が口の中には存在します。
それらをどれだけ取り除き、その接着システムが持つ最高のパフォーマンスを発揮させるかも重要です。
そのためにはラバーダム防湿といって唾液や湿度をできる限り遮断する必要があります。
この手間を加えることで、5年、10年後の詰め物の生存率が変わってきます。
歯の表面には唾液以外にも歯垢、唾液中のたんぱく質等も付着しています。
これらを完璧に取り除くことも非常に重要です。
ここから1時間ほどかけて左右の歯の大きさやバランスを考えながら、どこに詰めたかわからないよう、複数の種類のコンポジットレジンを盛りつけていきます。
大まかに研磨をした状態です。
色に関しては、ラバーダム防湿を行うとご自身の歯は乾燥しすりガラスのように白く変色してしまうため、詰めた当日には評価ができません。
後日、色の評価と最終的な研磨を行って終了になります。
費用:35.000+税/本