患者さんの訴えは
「前歯の被せ物の見た目が明らかに天然の歯と違う、人前で歯を見せて笑えない」
でした。
右上1番、左上2番に硬質レジン前装冠と言われる保険治療で用いられる冠が装着されています。
レジン=高分子樹脂・プラスティック系の材料はそれ単体では強度が不足するため、補強の目的で金属のフレームを作製、その上から硬質レジンを接着させています。
金属とレジンの材料的な問題で、天然歯が持つ透明感の再現にどうしても限界が生じます。
ちょうどプラスティック製と磁器製のお皿やコップをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
審美的な修復はセラミックスが第一選択になります。
色だけではなく歯の形態も周りの天然歯と異なります。
少しマニアックな話になりますが、
口の中の審美とは、お顔をはじめ唇とのバランス、歯の周囲に存在する歯肉との調和が大切です。
歯だけを綺麗に作成しても素晴らしい結果は得られません。
歯肉に接触する被せ物の形を厚くして歯肉を押したり、逆に薄くして歯肉を寄せたりすることで、周りの歯肉と被せ物は調和しより自然感が生まれます。
そのために1本の歯の中でも部位によって削る深さや量を考え変える必要があります。
歯科医師と歯科技工士の「阿吽の呼吸」がとても大切です。
この様な治療を行うためには、高い知識、技術、センスが歯科医師、歯科技工士に求められます。
日本はもとより世界で活躍する歯科医師、歯科技工士達に触れることで、これからもさらなる高みを目指していきたいと思います。
治療前 治療後
治療費
セラミックスクラウン:120.000+税/本