保健指導
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- 2008年03月10日
先日、校医をさせていただいている仁田小学校で、「親と子の歯の相談教室」と銘打って、虫歯・歯並び等についての相談会を開催しました。 今回初めての試みです。
1~2年生を対象にして御父兄に案内を出しました。
どのくらいの人数が集まるか不安でしたが、思った以上の方たちに参加いただきほっとしました。私が校医をやらせていただいているのは、ある先生の影響が非常に大きいといえます。
私は父の代からの2代目歯科医師です。
子供のころから診療室には毎日のように遊びに行っていたので、歯科医師の仕事を肌で感じていましたし、歯学部に進学したのも自然な流れでした。手先も比較的器用なほうでしたので、大学の実習では苦労した記憶は殆どありません。(歯学部の学生は、他の学部とカリキュラムがかなり異なります。多くの時間を歯を削ったり、歯を作成するトレーニングに費やします)
Drになった後も、歯科医師に向いていたのでしょう。
大学では多くの紹介患者さんを抱えて、忙しい毎日を送ることが出来ました。こだわる性格ですので、仕事では何時も完璧を目指しています。
所属している医局での毎日の勉強以外にも、週末は講習会に参加し知識・技術の研鑽に励んできました。自分のレベルが上がっていくのがわかり、治療のクオリティーもどんどん上昇していきます。
毎日の仕事が楽しくてしょうがありませんでした。でもある時気がついたのです。
どんなに自分や歯科医療の技術が向上し、世界でも最高レベルの技術・材料を駆使して歯を治したとしても、人口の歯は決して神様が創った自然の歯には敵わないんだということに。そんな時に偶然図書館で山形県酒田市で開業されている熊谷先生http://www.hiyoshi-dental-office.org/index.htmlの本(クリニカル カリオロジー)と出合いました。
ちょうどDr3・4年目のころだったと記憶しています。こんなことをやっている先生がいるんだ!!
強い衝撃を受けました。
もっと予防医学にも力を注ごうと決意しました。私の毎日の仕事の殆ど(90%以上!!)が治療のやり直しです。
今の日本の医療は、病気→治療→治癒→終了 です。
あなたもそれが当たり前だと考えていませんか?
予防医学の先進国はまったく異なります。病気には原因があります、治療ももちろん行いますが原因の除去に力を注ぎます。
病気の原因を取り除いていくことで、病気を防ごうという考えです。予防医学の先進国では行政が、医療従事者や国民に対して、その病気の原因・メカニズムの教育・予防方法にお金や時間を費やしています。
口の中の2大疾患は虫歯と歯周病です。
失う歯の90%が、この2つの病気が原因となります。
予防先進国の歯学部での授業や卒業後の研修は、病気のメカニズム・疾患を予防することにかなりの時間を割くようです。その結果予防先進国の国民の口の中は、日本人とは比べ物にならないくらい良い状態を維持しています。
彼らが笑ったときに銀歯が見えることがありますか?病気になりませんから、医療費も抑えることができます。
日本も将来そのような大人の考えが出来る国になることを願ってやみません。ちなみに私が学生時代、「虫歯学」という授業はありませんでした。
友人にその話をしたところ「えっ!じゃあ何を勉強するの?」と言われたことがあります。
日本の歯学部では、病気になった後の治療法を勉強することに大半の時間を費やします。保健指導のほうは非常に好評だったと保健の先生からうれしい言葉を頂きました。
本当はその子の父兄が高校生ぐらいの頃から(将来のお母さんや父親)保健指導をしていかなければならないのでしょうが、過ぎ去った時間を嘆いても仕方ありません。しっかり時間を取って相談に乗ることができ、父兄の皆さんも私も有意義な時間がすごせたと思います。