睡眠・呼吸障害
睡眠・呼吸障害

 

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私はこれからの歯科医療が取り込むべき課題の1つが”呼吸”だと考えています。
歯科医学ではなく口腔医学的な視点から診ると、口呼吸を行っている方が非常に多くいることに気付かされます。
口呼吸を行っている方は低位舌であり、気道が狭くなっています。
TCHといわれる無意識のうちに歯を接触させる癖のある方も低位舌です。

 

睡眠時無呼吸症とは睡眠中に呼吸が止まったり弱まる病気です。

新幹線の運転手が居眠りし、駅のホームをオーバーランしたことで有名になりました。

昼間眠くなり交通事故につながることが問題と思われがちですが、それだけではありません。

呼吸が止まると血液中の酸素濃度(酸素飽和度 SPO2)が低下していきます。

重症な患者さんは、その酸素濃度が70%まで低下します。(通常SPO2は96%以上)

 

この値は、昼間起きている時であれば失神する値なのだそうです。

無呼吸症ではこのような状態が一晩に何度も繰り返されています。

酸欠のため、心臓はフル稼働し必死で酸素を全身に送ろうとします。

しかしながら、呼吸をしていないため酸素濃度は上がりません。

酸欠のため睡眠の質も低下します。(熟睡できません)

 

 

その結果、心臓や脳に大きな負担がかかり心筋肥大、不整脈、狭心症、心筋梗塞などの原因となります。

血管には圧力がかかり高血圧症や脳卒中(脳内出血、脳梗塞)のリスクを高めます。

これら以外にも糖尿病、内臓型肥満にも関与することがわかっています。

 

無呼吸をきっかけに、命にかかわる病気が引き起こされるのです。

未治療のままだと、8年後には14%の方が亡くなることもわかっています。

亡くならなくても脳や心臓に障害が生じたり、寝たきりになるなど生活の質が下がることが予想されます。

夜間突然死との関連も指摘されており、学業や仕事の成績低下、ADHD、ウツなども引き起こします。

しかしながら、適切な治療を受けることでこれらのリスクを減らすことができます。

 

良質な睡眠は免疫力を高め、ガンをはじめとする様々な病気を予防します。

睡眠中に成長ホルモンが分泌され身体の修復を促し、昼間に溜まった疲れも取り除いてくれます。 (アンチエイジング)

脳に記憶を固定することも睡眠中に行われます。

無呼吸の方は、これらの機能が十分に働かず、認知症の9割の方に無呼吸があることが分かっています。

 

無呼吸の一部は「食いしばり・歯ぎしり」を行っています。

「食いしばり・歯ぎしり」は睡眠が浅くなる時に行います。無呼吸の方は眠りが浅いため食いしばったり、歯ぎしりを行うことが多い様です。

また酸欠状態から体や脳がストレスを感じ、食いしばるとも言われています。

その時の歯1本にかかる力は、平均体重の3~10倍といわれ、食いしばりが強い人になると500kg !!ほどの力を毎晩歯にかけ続けます。

歯だけではなく、歯を支える歯茎や顎の骨、筋肉や顎の関節にも大きな負荷をかけます。

 

その結果、自分の歯が欠けたりひびが入る、詰め物が外れたり割れる、治療しても歯周病の進行が止まらない、肩こりや片頭痛がある、顎の関節が痛い、口を大きく開けると音がする、などの症状を引き起こします。

無呼吸の治療を行わないまま歯の治療を行っても、治療の効果は十分に上がらず、さらに悪くなっていきます。

私の感触では、歯を磨いているにもかかわらず奥歯を複数失っている70%近くの方に、無呼吸があるように思います。

 

無呼吸は、専用の機器を用いてご自宅で調べたり、睡眠センターのある病院に宿泊し調べます。

当院でもその機器を導入しております。(指と胸元に小さなセンサーを取り付けご自宅で調べられます)

通常、無呼吸の疑いのある方には睡眠専門医がいる病院を紹介しますが、取り急ぎ調べたいという方には機器の貸し出しを行うか (¥5.000+税)、

一定レベル以上の設備と知識を持つ内科医を紹介しております。

 

無呼吸症の保険治療には、医科での診断が必要です。中等度~重度の方は医科で空気を鼻から気道に送り込む機器を用いた治療を行います。(CPAP)

軽度~中等度の方は歯科で無呼吸症専用のマウスピースを作製します。これには医科から歯科への紹介状が必要です。

酷いイビキは「身体からの悲鳴」と言われております。ご家族や知人でこの様な方がいる場合は、ぜひ睡眠専門医がいる病院への受診をお勧めして下さい。

 

 

 

当院ではMFT(筋機能訓練)を行い舌の挙上を促し、後退して気道を狭くしている下顎の位置の改善を矯正治療やかぶせ物で行うと、CPAPやマウスピースを用いずとも睡眠時無呼吸症を改善出来ることがあります。

その結果、身体全体の健康に大きく貢献することが出来ます。

 

 

Youtubeに参考になる動画がアップされています。

以下が訳になります。

 

気道と顎関節

正常な状態では舌は口蓋に張り付き、鼻で呼吸しています、鼻に疾患が生じて鼻呼吸がしづらくなると舌を下げ、口で呼吸をします。口呼吸が日常化すると鼻はさらに悪くなります。
慢性的な低位舌になると歯列にかかる舌圧が無くなり、頰筋からの圧力とのバランスが崩れ歯列弓は狭くなり、歯列不正が生じます。
嚥下時に舌を臼歯部に挟み込む事で臼歯は圧下され前歯は挺出し、前歯が高く奥歯が低いという咬合平面になっていきます。
咬合高径が低下するため下顎は後方に移動し、顎関節症が生じます。本来の下顎位は前ですが噛むためには下顎位を後方にずらさなければなリません。

この様な動きの中で歯は摩耗しさらに咬合高径が低くなり、下顎位は後方に押し込まれていきます。関節円板の前方転位が起き、開口障害が引き起こされます。
低位舌により気道の閉塞が進むと呼吸をするために頭部を前に倒し、気道を確保しようとします。その結果首やその周りの筋肉に悪影響を与えます。

 

 

 

当院はこの様な知識を持ち患者さんを診ることで、来院される方のうちかなりの割合で睡眠時無呼吸症候群の方がいることがわかってきました。

口の中の状態や問診後、無呼吸の疑いが高い方は専門医への紹介や当院での簡易型PSG検査(自費治療5.000円+税)を行い診断後治療を行なっております。

 

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保険治療での睡眠時無呼吸症候群治療の流れ

 

①睡眠医学の知識を持った内科医をご紹介します

内科にて血液中の酸素濃度(SpO2)と脈拍数を測定する機械を貸し出します。

ご自宅で検査を行います。

 ※検査機器の数に限りがあります、受診の前に必ず予約をとってください。

さらに詳しい検査が必要な方は専門医がいる総合病院(井上病院など)へ紹介となります。

 

②精密検査(必要な方のみ)

確定診断のため、さらに詳しい検査を行います。(1泊2日検査入院の可能性あり)

 

③治療

睡眠時無呼吸症と診断された際、睡眠前の飲酒を控える、減量等の生活習慣の改善を行っていくと同時に、その重症度により2種類の治療法を行います。

CPAP治療

医科での代表的な治療です。弱圧で空気を送り込む器械を睡眠時に使用します。

即効性、確実性があり、生活習慣病(高血圧・糖尿病等)の予防・改善に役立ちます。

いびきの軽減により周囲の方の睡眠の質も良くなります。

必ず専門医の定期的な経過観察が必要になります。

マウスピース治療

軽症の方や、CPAPが違和感のた装着できない方が対象となります。

当院でマウスピースを作製いたします。

 

④再評価

一定期間CPAPもしくはマウスピースを使用後、睡眠の質が向上したか、顎の関節に問題が出ていないかの確認を行い、内科や専門病院にて再度器械を用いて検査を行います。

無呼吸症の改善が認められない場合、歯科ではマウスピースの調整を行います。

 

 

 

 

自由診療での睡眠時無呼吸症治療の流れ

 

一般的な保険治療では病気の原因は取り除きません、病気の予防は行えません。

例えば

癌になると外科的に切り取る、取り除くことが不可能な時は抗がん剤。高血圧には降圧剤。歯を失ったら両隣の歯を削り被せ物でつなげる、入れ歯を入れる。

などが行われています。

 

治療はうまくいったのに癌が再発することがあります、高血圧症の薬をやめれば血圧は元に戻ります、ブリッジを入れるため削った両隣の歯が悪くなることがあります。

これらは病気の原因が分かっていない、医師が知らない、取り除かない、等が原因です。

 

一般的に行われている無呼吸症の治療も同様で、呼吸が止まった回数が多いからCPAP治療、少なめだとマウスピース治療、と検査機器が調べた数値だけで治療法を決め、原因の除去を行なっていません。

原因を取り除かなければ病気は治りませんから、一生CPAP治療、マウスピース治療を行い続けることになります。

私が患者ならそのような治療はご免こうむりたいです。

 

当院はこのような対処療法的な、その場しのぎの医療に疑問を持っています。

保険診療では検査や治療法にはどうしても限界があります。

 

より良い治療をご希望される患者さんには、可能な限り原因を除去し、世界基準の治療を提供します。

(アメリカ西海岸を中心に行われている治療をベースにしています)

当院が目指すのは無呼吸症を根本から治し、最終的にCPAPやマウスピースを使わなくても済むようにする事です。

 

 

1.無呼吸症の有無、原因を検査します

・ウォッチパットを用いた睡眠時無呼吸の簡易検査

  • ・口腔機能検査(舌の機能)
  • ・CT撮影(気道解析機能を持つ最新鋭の機械を用い、気道の状態を確認します)

                                     費用:37.000+税

2.治療

 原因がどこにあるかを診断し、その原因にアプローチしていきます。

 費用が安価で違和感の少ない治療から始めていきます、大まかに4段階に分けて治療を行います

 それぞれの段階で改善がみられれば、それ以上の治療は行わず経過観察していきます 

 

ステップ1:呼吸訓練・筋機能訓練(最大5回)

  →簡易検査

               費用:30.000+税

ステップ2:下顎にマウスピース装着

  →簡易検査

               費用:20.000+税

ステップ3:上顎にもマウスピース装着

  →簡易検査        費用:20.000+税

 

ステップ4:下顎を前に出すマウスピース装着(ソムノデントフレックス)

  →簡易検査        費用:150.000+税

 

※我々の目的はCPAPやマウスピースを使用しなくてもすむようにする事ですが、限界もあります。

※治療効果が現れるまでに数か月かかることがあります。

※それぞれの治療毎に簡易検査を行い、治療効果を客観的に評価します。

※必要な際は追加でCT撮影を行います(費用:15.000+税)

※原因が鼻にある際は耳鼻科を紹介します。

※原因が噛み合わせにある場合は、矯正治療や歯科治療を行います。

 

 

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当院では、患者様の状態に合わせ、治療法やトレーニングの提案をさせて頂きます。
また、治療だけではなく日々の生活での癖などの改善を促し、呼吸方法やそれに伴う、症状の改善に努めます。

この患者さんは噛み合わせが低くなり、顎の位置が後退し気道を狭くしていました。

本来の顎の位置をスプリントと言われるマウスピースで模索し、その位置で噛み合わせを構築しました。

治療後仰られていたのは「今まで食事の度にムセていたのがほぼ無くなった」という事でした。

 

ある著名な先生に意見を伺ったところ、噛み合わせが高くなり口腔内の体積が増えた事で舌の動ける領域が広がり、飲み込みがうまくいく様になったためでは?

という事でした。

 

噛み合わせが全身に影響を及ぼすことがあるという体験をさせていただきました。

矯正治療の際に撮影するレントゲン写真で気道をトレースしたところ、治療後明らかに広がっていることも確認できました。

 

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